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2023.11.28

平板載荷試験の目的とは?メリットや注意点、役割を具体的に解説

新築住宅の建築や建物の建て替えの際に必要となる地盤調査。平板載荷試験
(へいばんさいかしけん)は、地盤の支持力を正確に調べる際に依頼される調査方法です。
しかし、地盤調査について詳しくない方であれば、
「平板載荷試験はどのような調査なの?」
「平板載荷試験の目的や役割を教えてほしい」とお悩みを持つことでしょう。

そこで今回は、平板載荷試験の概要と目的を解説した上で、そのメリットや注意点、役割について紹介します。平板載荷試験以外の調査方法にも言及しますのでぜひ最後までご覧ください。

地盤調査の意義

地盤調査とは、住宅などの建築物に対して、その下にある地盤が十分な強度を持っているかどうかを明らかにする調査です。地盤の強度を確かめることで、建築物を安全に支える方法を考案する際にも役立ちます。地盤調査は、建築基準法施行令によって建築の際に実施することが義務付けられており、住宅の建築や建て替えの際に必ず実施しなければいけません。

地盤の強度が不十分な場合、建物の傾きや道路のひび割れといったリスクを抑えるために、地盤改良工事を行います。事前に地盤の強度を確かめることで、そこで暮らす方々の安心した生活を実現するのです。

地盤調査には、調査の目的や種類によって複数の調査方法が存在しており、「スクリューウエイト貫入試験」「ボーリング試験」などがポピュラーな調査方法として知られています。

平板載荷試験の概要と目的

平板載荷試験(へいばんさいかしけん)とは、地盤の支持力を明らかにするための調査方法です。

地盤の支持力とは、地盤や地盤に埋め込んだ杭などが支えることのできる最大荷重を指します。最大荷重が少ない、つまり地盤の支持力が足りない場合は、建築物を建てたとしても下の地盤が建造物の荷重に耐えきれず、傾いてしまうおそれがあります。そうした軟弱な地盤になっていないか、これから建てる建築物の加重に耐えられるかどうかを測定するために依頼される試験の1つが平板載荷試験です。

実際の平板載荷試験では、直系30cmほどの載荷板を用いて、実際の建築物に近い荷重を想定して行います。反力荷重として使用するのがバックホーなどの現場の重機です。重い荷重を設定する際はクレーンなども活用します。

 

 

平板載荷試験の調査の主な流れをみておきましょう。

① 調査する地盤に載荷板を設置

② 荷重計などの計器類とジャッキをセット

③ 重機などを活用して対象に荷重

④ 荷重をかけた後の地盤の沈下量を測定

⑤ 荷重を段階ごとに分けてそれぞれのデータを測定

⑥ 測定したデータを報告書などに記載

 

 

平板載荷試験は、段階的に沈下量を測定します。所定の加重がかかったあとに、経過時間ごとに0分、1分、2分、5分、10分、15分、20分、25分、30分と8段階ほどに分ける方法が一般的です。

このように、平板載荷試験は直接地盤に負荷をかけて調査するため、地盤の正確なデータを測定できます。平板載荷試験は、国土交通省告示にて、「地盤の許容応力及び基礎ぐいの許容支持力を求めるための地盤調査の方法は、次の各号に掲げるものとする。」としてその計算式が示されており、信頼性が高い調査方法として知られています。

参考:国土交通省 地盤の許容応力度及び基礎ぐいの許容支持力を求めるための方法等を定める件

平板載荷試験のメリットと注意点

平板載荷試験には、他の地盤調査方法に比べて以下のような特徴が存在します。

 

 

□ 騒音や振動が出にくい

□ 調査にかかる時間が比較的短い

□ 準備や撤去に手間がかかりにくい

 

 

平板載荷試験は、バックホーやクレーンなどの重機を使って、一定の荷重を載荷板にあたえる調査方法です。ボーリング調査のようにハンマーなどを使用しないため継続的な騒音や振動が出にくく、近隣住民への影響を抑えて調査できる点がメリットといえます。

また、平板載荷試験の測定時間は4時間から5時間程度です。地盤調査に時間をかけられないようなケースでも、調査を依頼したその日のうちに特定の地盤の強度を明らかにできるでしょう。プレハブなどの簡易的な建物を建造したい場合や時間がないときの調査にも向いています。

さらに、調査の準備や撤去にかかる手間がかかりにくい点もメリットです。現場に重機などを搬入するスペースこそ必要なものの、調査に必要な計器類は限られており、搬入や撤去にそれほどの時間を必要としません。

 

一方で平板載荷試験には、以下のような注意点が存在します。

 

 

□ 深さ60㎝までの地点しか測定できない

□ 調査地点の支持力しか測定できない

 

 

測定できる深さには載荷板の大きさが関係しており、60cmより深い所は基本的に調査することが困難です。もしも建築地点の深い地盤に軟弱層があった場合は、発見できないおそれがあります。
その際は、後述するスクリューウエイト貫入試験などの別の調査を併用しなければいけません。

なお、軟弱層とは、「弱い地盤」とも呼ばれており、土の強度が弱いため建物が傾いたり沈下したりするおそれのある地盤です。地盤が弱い場合は、地盤改良工事によって強度を高める必要があります。

地盤調査における平板載荷試験の役割

平板載荷試験は、地盤の正確な支持力を確かめる際に役立つ地盤調査方法です。また、ボーリング試験などに比べて、短時間で必要器材を構築・撤去できるため、道路工事やプレハブ建設、擁壁を構築する際に活用されています。

ここでは、平板載荷試験以外の調査方法として、「スクリューウエイト貫入試験」と「ボーリング試験」を紹介します。両者の特徴を確認して、平板載荷試験との違いをみていきましょう。

 

スクリューウエイト貫入試験

スクリューウエイト貫入試験とは、「SWS試験」「スウェーデン式サウンディング試験」とも呼ばれる調査方法です。先端にドリル状の部品がついた鉄の棒(ロッド)を地中にねじり込ませて、地盤の強さを測定します。ロッドに重りを載せていくことで、重さごとの沈み方をみて、地盤の強度や密度などを調査するわけです。

平板載荷試験に比べて、地中10mまでの土中の地盤を調査できるため、一戸建てなどの地盤調査に利用されることの多い調査方法です。一方で、平板載荷試験と同様に土を直接採取して検証する方法ではないため、土質の詳細な調査までは困難である点には注意が必要です。

ボーリング試験

 

ボーリング試験とは、地面に開けた孔に円筒状の鋼管を打ち込み、地盤の強度を測ったり土や岩盤のサンプルを入手したりする地盤調査方法です。地盤の支持力を確かめるだけでなく、土質の調査も可能です。

また、地下水位まで調査できる点は、平板載荷試験にはない特徴といえます。ただし、調査費用は高額になりやすいため、一般住宅を建築する際に依頼するケースは少ないでしょう。商業施設、ビル、マンションなどの大型施設を建設する場合に用いられています。

まとめ

地盤に直接荷重を加えて、その支持力を確かめる平板載荷試験。国土交通省にも認められている信頼性の高い調査方法の1つです。調査の際に時間がかかりにくいことや騒音や振動が発生しにくいといったメリットが存在します。

一方で、深い地点の地盤調査はむずかしく、土質や水位を詳しく調査したい場合は、スクリューウエイト貫入試験やボーリング調査などの調査方法を選択しなくてはいけません。

実際に地盤調査を専門業者に依頼する際は、建物の特徴などについて事前に相談した上で、最もふさわしい地盤調査を選択しましょう。

         

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